2012年11月23日金曜日

ポジティブ・シンキング② エゴ


また、前回のブログから時間が経ってしまいました。

ぐぐぐ。

ポジティブシンキングもネガティブシンキングも同じところから始まっている、

という話をしてみたかったのです。

自分は苦しみたくない、悲しみたくない、だから明るく上を向いて行こう!

(他人を押しのけででも上へ行こう!)

がポジティブシンキング。

自分は能力がない、自分を信じられない、だから下を向いていくしかなかろう

(失敗して傷つくのが怖いから、最初から下を目指していこう)

がネガティブシンキング。

どちらにも潜んでいるのが、自分に対する評価であり、

その評価は世界と比べてちっぽけである、ということ。

この評価をしているのが「エゴ」さんです。自我のことです。



エゴは、Egoと英語で書きますね。英語での発音はイーゴウと聞こえますが、

「エゴ」と日本では読んでます。

エゴによって苦しみが生まれる、といいますよね。



エゴについてはたくさんの書物があり、小説があり、解釈があります。

東洋では基本的にエゴは普通は悪者です。

エゴをなくそう、エゴはつまり煩悩であり、煩悩はなくしていくものです。

西洋ではエゴはどちらかといえば、アイデンティティというニュアンスがあるかもしれませんね。





ヴェーダーンタにおいては、エゴはいいも悪いもなく、かなり心理学的なニュアンスです。



ヨーガやヴェーダーンタでは、エゴ、自我のことをアハンカーラと言います。

アハンというのは「私」ということ。

カーラというのはKr(クル)という語源、行いという言葉が元になっています。

カルマ(行いとその結果)と同じ語源です。

アハンカーラは「私が行い手である」という認識をしている内部器官(アンタッカラナ)です。

内部器官には考えの他に感覚器官などがあります。

感覚器官も考えも、見えないけれど、わたしたちの大事な道具です。




この考えの道具には4つあるといいます。


1つ目はチッタ(チッタム)。

 すべての考えのもとになる記憶です。

 記憶あるいは潜在記憶にせよ、記憶がなければ、なにも考えは生まれません。

 今の私がしたことを覚えていなければ、明日どうすればいいのかわかりません。

 子どもの時の記憶がなければ、親のことも、教育も、自分の名前さえわかりません。

 記憶は大事な考えの基本です。



2つ目はマナス、考えです。

 この考えとは揺れ動いている考えのことです。

 ですので、感情や思い悩んでいる考え、想像しては揺れる考えです。

 揺れ動くので、大変なときもあります。悩みはそうですよね。

 また揺れ動くので、楽しさでもあります。恋愛とかそうですよね。

 好きとか嫌いとか、そういった考えは揺れ動き、それを追い求めたりします。


3つ目はブッディ、知性です。

 この考えは、動かないしっかりとした土台となった考えです。

 2×3=6という考えは幼稚園までは記憶されていないでしょう。

 小学校に上がってから自分の中で揺れ動く考えの中で整理され、

 さらに繰り返し学ぶことで知性に変わります。


4つ目が今回の主人公、アハンカーラです。

 自我です。「わたし」が行い手であるという考えです。

 
この4つがどのように働くかを見ていきます。

まず私は感覚器官を使って、五感を使って、この五感から情報を得ていきます。

すべては五感から始まります。

逆に言えば、ニンゲンはどのようにさかさまにひっくりかえっても

まずこの五感以外から情報を得ることはできません。


アインシュタインは時間や空間やエネルギーについて

見たことも触ったこともないのに、大事な情報を見つけ出しました。

五感以外から、つまり直感で導き出した、ともいえます。

けれども、やはりこの考えも五感がベースです。

数学もまずは五感からです。

1+1=2から始まります。

ここにリンゴが1個あって、そこにもリンゴが一個あって、あわせるといくつですか?

視覚や触覚や嗅覚、はたまた味覚、あるいは聴覚まで使って、このリンゴがある、

と認識し、そして数学が始まります。

その積み重ねが、数学であり、相対性理論にも、量子力学にもつながっています。


五感から得た情報が、飛び込んできた時、過去の情報と照らし合わせます。

チッタム=記憶に問い合わせるのですね。

コンピューターで言えば、ハードディスクに記録されている書類を検索するわけです。

でてきた答えから、例えば

「あ、あれはヘビだ」

という認識が起こります。

そこで、マナス=マインドが「嫌だ」と反応します。

マナスの反応に対して、最後にアハンカーラ=自我が

私はヘビを見た。私はヘビが嫌い! 私はヘビから逃げよう!」

という意思が働き、行動に変えるのです。


最後の考え、アハンカーラの働き、どうでしょう?

危険なヘビから逃げる選択をしました。

アハンカーラは

これを見る限りでは、問題はありませんよね。


このアハンカーラの働きの中で、もっとも強いエネルギーを持つもの……

それは「好き」と「嫌い」です!

好きと嫌いはセットです。いつも一緒で、コインのウラ・オモテです。

アハンカーラ、つまり「わたし」においての一番目立つ仕事はこの「スキ・キライ」です。

記憶も、五感も、知性も、そこにはただただ現実を見ていく機能があります。

もちろん過ちも含まれますが、それでもその人にとっての真実です。

けれども、感情と一緒になったアハンカーラ、

つまり「スキ・キライ」は人生を大きく変えるほどの強力なエネルギーを持つのです。